”ホルモン療法はがんになる?”都市伝説をやっつけろ!(後編)
2018.11.19
こんにちは、田路です!
都市伝説をやっつけろ!(前編)では、
ぶっちゃけどうなのよ!?
って皆さんが思っているであろう、
がんリスクとの関係に突っ込んでみました♡
女性ホルモン補充を例にすれば、
①最低限の栄養バランスを整える
②ナチュラルホルモンを適量使う
③2つの女性ホルモンのバランスをとる
④できれば他のホルモンも総合的に調整する
⑤定期的な健診
を心がけて治療を行えば、
安全性が高くベネフィットがあると言えます。
実は、保険診療でのホルモン補充療法って、
まず①~③のステップからしてクリアされていないんですね。
× 栄養まで診る先生はほぼ皆無(保険対象外)
× Bio-identicalではない(一部エストロゲンを除く)
× 2つのホルモンでバランスをとるという考え方がない
ちょっと歴史を遡ってみましょう。
はじめて女性ホルモン補充が行われた時は、
馬の尿から抽出したプレマリンという
bio-identicalではないエストロゲンが使われました。
本来ヒトの体内で作られるエストロゲンは3種類あって、
中でも女性ホルモンの中心的役割はエストラジオール(E2)。
でも、更年期を境に増えるエストロン(E1)、これが曲者なの!
E1(エストロン)
→乳がん・子宮体がん刺激、血栓形成
E2(エストラジオール)
→抗酸化効果、脂肪代謝改善、骨構造維持、セロトニン分泌UPなど
E3(エストリオール)
→乳がん予防効果、抗血栓作用
最初のホルモン療法で使われたプレマリンは体内で主にE1に変わるため、
その後の調査で乳がんが増えることが判明。
そこで“ホルモン療法はがんリスクを上げる”と、性急な結論が出されてしまったの!
だけど本当の問題は、
☑️有害なE1に代謝される成分を投与したこと
☑️がん回避の役割をもつプロゲステロンやE3を投与しなかったこと
ホルモン補充そのものが悪かったわけではないんです。
そして新たな知見が積み重なった現在でも、
昔ながらの“ホルモン療法はがんになる”は、独り歩きしています。
こういった経緯を踏まえてナチュラルホルモン補充療法(NHRT)では、
bio-identicalなホルモン薬を使うだけでなく、
エストロゲンはE2+E3を使い
必ずプロゲステロンを併用してバランスを保ちます。
そうすることでE1のがん刺激作用をできるだけ取り除き、
✨安全性が高くベネフィットの多い女性ホルモン補充✨ができるんですね!
そして最後にもうひとつ。
ホルモン補充療法による疾患リスクの増減にくらべると、
●フライドポテトやアルコールの摂取
●肥満や過食
●夜勤やシフト制など概日リズムの乱れ
●抗生物質投与
などははるかにリスクを増やすんです!
本当はホルモン補充療法がいいか悪いか!?よりも、
もっと身近なコトに危機感を持たなくちゃいけないんだよね😩
これらすべてを限られた時間で患者さんに説明するのって、
なかなか難しいのです💦
でも今日のお話で、
皆さんの中の都市伝説は、やっつけられたかな?
♡Taji♡